「もし10年前にあの株を買っていたら、今ごろどうなっていたんだろう?」
シリーズ「もしも10年前にこの株を買っていたら」の2社目です。日本の時価総額が大きい会社を上から順に、「10年前に100株買っていたら、株価と配当でいくらになったか」を実際のデータで計算しています。
今回は、時価総額2位のソフトバンクグループ(9984)です。
前回の三菱UFJは「配当が育った」会社でした。今回は、配当はほぼ横ばいなのに、株価の値上がりで大きく増えた会社です。同じ「約7倍」でも、中身がまったく違います。
この記事で分かること:
- 10年前に100株買っていたら、今いくらになっているか
- 配当が毎年いくら入ってきたか(年ごとの表)
- この10年で株価を動かしたもの
- 配当の会社と値上がりの会社、どう考えるか
1. 計算の前提
まず、計算のルールです。
- 2016年10月11日の終値で100株を購入
- 配当は再投資せず、受け取るだけ
- 税金・手数料は考えない(税引き前)
- 株式分割は株数に反映
ソフトバンクグループは、この10年で2回株式分割をしています。
- 2019年6月28日:1株を2株に分割(ソフトバンクグループ プレスリリース)
- 2026年1月1日:1株を4株に分割(ソフトバンクグループ プレスリリース)
そのため、最初に買った100株は、今は800株になっています。データはYahoo Financeから取得し、2026年10月8日時点の終値で計算しました。
株価の数字だけを見比べると、分割のせいで「下がった」ように見えることがあります。株数とセットで見るのが大事です。
2. 結果:100株が7.24倍に
結果はこうなりました。
| 買った日 | 2016年10月11日 |
| 当時の株価 | 6,782円 |
| 投資額(100株) | 678,200円 |
| 今の株数 | 800株(分割による) |
| 今の株価(2026年10月8日) | 6,040円 |
| 今の評価額 | 4,832,000円 |
| 株の値上がり率 | +612.5% |
| 10年間の配当合計 | 77,000円 |
| 株+配当の合計 | 4,909,000円 |
| トータルリターン | +623.8%(7.24倍) |
67万8,200円が、株と配当を合わせて490万9,000円。約7.2倍です。
当時の株価6,782円と今の株価6,040円だけを並べると「値下がりした?」と思ってしまいます。でも実際は、株数が100株から800株に増えているので、評価額は大きく増えています。

① 配当が毎年いくら入ったか
次に、配当の流れを年ごとに見てみます。1株配当は、今の800株に合わせた「分割調整後」の金額です。
| 年 | 1株配当(分割調整後) | 受け取った配当 | 年末の評価額 | 累計配当 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年※ | 0円 | 0円 | 776,500円 | 0円 |
| 2017年 | 5.5円 | 4,400円 | 892,000円 | 4,400円 |
| 2018年 | 5.5円 | 4,400円 | 730,500円 | 8,800円 |
| 2019年 | 8.25円 | 6,600円 | 951,200円 | 15,400円 |
| 2020年 | 11円 | 8,800円 | 1,611,600円 | 24,200円 |
| 2021年 | 11円 | 8,800円 | 1,086,800円 | 33,000円 |
| 2022年 | 11円 | 8,800円 | 1,128,800円 | 41,800円 |
| 2023年 | 11円 | 8,800円 | 1,258,600円 | 50,600円 |
| 2024年 | 11円 | 8,800円 | 1,837,000円 | 59,400円 |
| 2025年 | 11円 | 8,800円 | 3,520,000円 | 68,200円 |
| 2026年※ | 11円 | 8,800円 | 4,832,000円 | 77,000円 |
※2016年は10月11日からの約3か月、2026年は10月8日までのデータで、どちらも1年分ではありません。2026年の「年末の評価額」は10月8日時点の値です。表はYahoo Financeのデータを暦年(1〜12月)で集計したもので、会社の決算期(3月期)ごとの年間配当とは区切りがずれます。
年間の配当は、2017年の4,400円から2025年の8,800円へ。増えてはいますが、2020年以降は毎年8,800円で横ばいです。
会社の発表を見ると、2024年3月期の年間配当は1株44円(中間22円・期末22円)で、前の期と同じ金額でした(ソフトバンクグループ プレスリリース)。2026年1月の4分割のあとは、この44円が1株11円という表示になります。
② 取得額に対する配当利回りは1.3%
直近の1年分そろっている2025年で見ると、最初の投資額に対する配当利回りは1.3%です。
10年間の配当合計77,000円も、株+配当の合計4,909,000円から見ると、ほんの一部です。この会社のリターンは、ほとんどが株価の値上がりから来ています。
③ 値動きはかなり大きかった
表の「年末の評価額」を見ると、2020年末の1,611,600円が、翌2021年末には1,086,800円まで下がっています。2018年末も、前の年の892,000円から730,500円に下がりました。
そして2024年末の1,837,000円から、2025年末には3,520,000円へ。上がるときも下がるときも、動きが大きいのがこの10年の特徴です。
7.2倍という結果は、大きな上げ下げを全部くぐり抜けて、売らずに持っていた人だけが手にできた数字です。
3. この10年で何が株価を動かしたのか
① ビジョン・ファンドの巨額損失(2022〜2023年)
ソフトバンクグループは、世界中の会社に投資して、その価値を高めることで稼ぐ会社です。主力の一つが、新興企業などに投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」です。
投資先の価値が下がると、会社の利益も大きく下がります。2023年3月期の連結決算は、純損益が9,701億円の赤字で、2期連続の最終赤字でした。世界経済の先行き懸念が強まるなか、投資先の株価下落などで、SVFで巨額の損失が出たことが響いたと報じられています(ビジネス+IT)。
2021年末から2023年末にかけて評価額が伸び悩んだのは、この時期と重なります。
② Armの米国上場(2023年9月)
流れが変わるきっかけの一つが、傘下の半導体設計会社Armの上場です。Armは2023年9月14日(米国時間)にNasdaqに上場しました。IPO価格は1株51ドルで、初日の終値は63.59ドル、時価総額は650億ドルになったと報じられています(EE Times Japan、ソフトバンクグループ プレスリリース)。
Armの技術は、スマートフォンやAI向けの半導体で広く使われています。AIブームのなかで、Armを持っていることがソフトバンクグループの評価にもつながったと考えられます。
③ OpenAIへの大型出資(2025年)
さらに大きな材料になったのが、ChatGPTを開発するOpenAIへの出資です。ソフトバンクグループは2025年12月26日(米国時間)に、OpenAIへの225億ドルの追加出資を完了し、持分は約11%になったと発表しています(ソフトバンクグループ プレスリリース)。
2025年は、OpenAIに関する報道で株価が大きく動く場面もありました(PayPay証券)。年末の評価額が2024年の1,837,000円から2025年の3,520,000円へ大きく伸びたのは、この時期と重なります。
株価が上がって投資単位が200万円を超えたことから、会社は「投資家がより投資しやすい環境を整える」ために、2026年1月1日に1株を4株に分割しました(ソフトバンクグループ プレスリリース)。
この会社の株価は「本業の売上」より、「投資先の価値」で大きく動く。それを知っているかどうかで、値動きの見え方が変わります。
4. 僕の場合:配当の会社と値上がりの会社
この結果を見て感じたのは、配当はほとんど関係なく、値上がり(キャピタルゲイン)だけで大きくプラスになっているということです。10年間の配当は合計77,000円。増えた金額のうち、配当は2%ほどしかありません。
正直に言うと、僕ならこの株と長く付き合う自信がないので、買わないと思います。僕がしたいのは、波に乗る投資より、波に落とされない投資。だから、配当を受け取りながら持ち続けられる高配当株を選んでいます。
僕は今、SBI証券の新NISAでS&P500のインデックスファンドを積み立てています。あわせて、日本の高配当株にも投資しています。
その立場から、前回の三菱UFJと比べて考えたことは3つです。
1つ目は、「同じ約7倍でも、お金の入り方が違う」ということ。三菱UFJは配当が年々増えていく会社でした。ソフトバンクグループは、配当はほぼ横ばいで、リターンのほとんどが株価の値上がりです。値上がりの利益は、売らないと手元のお金になりません。サイドFIREで「毎月の生活費の一部を投資から」と考える僕にとっては、この違いはとても大きいです。
2つ目は、値動きに耐えられるかどうか。2020年末から2021年末にかけて、評価額は大きく下がりました。投資先の損失のニュースが続くなかで持ち続けるのは、僕なら正直かなり不安だったと思います。
3つ目は、AIという大きな流れとの関係です。僕はClaudeを使ってこのブログの下書きを作っていて、AIが毎日の作業を変えていることを実感しています。ただ、「AIが伸びる」と思うことと、「特定の1社の株価が上がる」ことは別の話です。だから僕は、土台はS&P500のような分散の効いたインデックスにして、1社の結果に家計が左右されない形にしています。
このシリーズは「この株を買うべき」という話ではありません。10年という時間で、株価と配当がどう動くのかを記録して、自分の投資の考え方を整理するためのものです。
「何倍になったか」と同じくらい、「どうやってお金が増えたのか」を見ると、自分に合う投資が見えてきます。
5. 今日からできること
- 気になる会社の「株式分割の履歴」を確認する:昔と今の株価を比べるときは、分割で株数が何倍になったかもあわせて見ます
- リターンを「配当」と「値上がり」に分けて考える:自分がほしいのは毎年入るお金か、長期の値上がりかを整理します
- 自分の資産の「一番下がった時期」を思い出してみる:そのとき売らずにいられたかを考えると、自分に合う値動きの大きさが分かります
6. まとめ
- 10年前にソフトバンクグループを100株(678,200円)買っていたら、株+配当で4,909,000円、7.24倍になっていた
- 2回の株式分割で、100株は800株に増えている
- 配当は2017年の4,400円から2025年の8,800円へ。取得額に対する利回りは1.3%で、リターンのほとんどは値上がりによるもの
- ビジョン・ファンドの損失で落ち込んだ時期をへて、Armの上場やOpenAIへの出資が注目された
過去の成績は、将来の成績を保証するものではありません。今回の結果は、あくまで「過去10年ではこうだった」という記録です。
次回は、時価総額3位のトヨタ自動車を取り上げる予定です。
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出典:株価・配当データは Yahoo Finance(9984.T)、データ取得日 2026年10月8日。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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