「もし10年前にあの株を買っていたら、今ごろどうなっていたんだろう?」
投資をしていると、こんなことを一度は考えますよね。僕もよく考えます。
そこで始めたのが、このシリーズ「もしも10年前にこの株を買っていたら」です。日本の時価総額が大きい会社を上から順に、1社ずつ「10年前に100株買っていたら、株価と配当でいくらになったか」を実際のデータで計算していきます。
記念すべき1社目は、時価総額トップの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)です。
この記事で分かること:
- 10年前に100株買っていたら、今いくらになっているか
- 配当が毎年いくら入ってきたか(年ごとの表)
- この10年で株価と配当を動かしたもの
1. 計算の前提
まず、計算のルールです。
- 2016年10月11日の終値で100株を購入
- 配当は再投資せず、受け取るだけ
- 税金・手数料は考えない(税引き前)
- 株式分割があれば株数に反映(今回の期間中、分割はありませんでした)
データはYahoo Financeから取得し、2026年10月7日時点の終値で計算しています。
「たられば」は後悔のためではなく、これからの考え方を整理するための材料です。
2. 結果:100株が7.69倍に
結果はこうなりました。
| 買った日 | 2016年10月11日 |
| 当時の株価 | 523円 |
| 投資額(100株) | 52,300円 |
| 今の株価(2026年10月7日) | 3,622円 |
| 今の評価額 | 362,200円 |
| 株の値上がり率 | +592.5% |
| 10年間の配当合計 | 39,900円 |
| 株+配当の合計 | 402,100円 |
| トータルリターン | +668.8%(7.69倍) |
5万2,300円が、株と配当を合わせて40万2,100円。約7.7倍です。

① 配当が毎年いくら入ったか
次に、配当の流れを年ごとに見てみます。
| 年 | 1株配当 | 受け取った配当(100株) | 年末の評価額 | 累計配当 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年※ | 0円 | 0円 | 72,020円 | 0円 |
| 2017年 | 18円 | 1,800円 | 82,640円 | 1,800円 |
| 2018年 | 21円 | 2,100円 | 53,790円 | 3,900円 |
| 2019年 | 23.5円 | 2,350円 | 59,320円 | 6,250円 |
| 2020年 | 25円 | 2,500円 | 45,610円 | 8,750円 |
| 2021年 | 26円 | 2,600円 | 62,490円 | 11,350円 |
| 2022年 | 30.5円 | 3,050円 | 88,900円 | 14,400円 |
| 2023年 | 36.5円 | 3,650円 | 121,150円 | 18,050円 |
| 2024年 | 45.5円 | 4,550円 | 184,600円 | 22,600円 |
| 2025年 | 74円 | 7,400円 | 249,300円 | 30,000円 |
| 2026年※ | 99円 | 9,900円 | 362,200円 | 39,900円 |
※2016年は10月11日からの約3か月、2026年は10月7日までのデータで、どちらも1年分ではありません。2026年の「年末の評価額」は10月7日時点の値です。表はYahoo Financeのデータを暦年(1〜12月)で集計したもので、会社の決算期(3月期)ごとの年間配当とは区切りがずれます。
2017年に1,800円だった年間の配当は、2025年には7,400円。同じ100株なのに、受け取る配当は約4倍になりました。
② 取得額に対する配当利回りは14.15%
直近の1年分そろっている2025年の配当7,400円を、最初の投資額52,300円で割ると14.15%です。
これは「今の株価に対する利回り」ではなく、「10年前に払ったお金に対する利回り」です。長く持って配当が増えると、この数字がどんどん大きくなります。
③ ずっと右肩上がりではなかった
見落とせないのが途中の値動きです。表の「年末の評価額」を見ると、2020年末は45,610円。買ってから4年たっても、投資額の52,300円を下回っていました。
結果だけ見ると「7.7倍」ですが、途中で売っていたら、この結果にはなりません。
7.7倍という結果の裏には、「4年たっても含み損」という時期がありました。
3. この10年で何が株価と配当を動かしたのか
① マイナス金利の時代(2016年〜)
日本銀行は2016年1月の金融政策決定会合で、日本で初めての「マイナス金利」の導入を決めました(三井住友DSアセットマネジメント)。
銀行は、お金を貸したり運用したりして得る金利が収益の柱です。金利が低い状態が長く続くと、その「利ざや」が稼ぎにくくなります。この10年の前半、株価が伸び悩んだ背景には、こうした低金利の環境がありました。
② マイナス金利の解除と「金利のある世界」(2024年〜)
流れが変わったのが2024年3月です。日銀は約8年続いたマイナス金利政策を解除し、約17年ぶりの利上げを行いました(三菱UFJアセットマネジメント)。金利が上がると、銀行が貸し出しや運用で得る金利収入は増えやすくなります(松井証券)。
実際、MUFGの2025年3月期の純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は1兆8,629億円で、前期から25.0%増えました(決算まとめ)。さらに2026年3月期については、2005年のMUFG発足後初めてとなる純利益2兆円を見込むと報じられていました(ニュースイッチ)。
年末の評価額が2022年の88,900円から2025年の249,300円へ大きく伸びたのは、この時期と重なります。
③ 「配当性向40%程度」という株主還元方針
配当が増えたもう一つの理由は、会社の方針です。MUFGは株主還元方針で、配当性向を40%程度とし、利益成長を通じて1株当たり配当金を安定的・持続的に増やすことを基本方針にしています(MUFG 株主還元方針)。
つまり、利益が増えれば配当も増えるしくみです。会社の配当情報を見ると、年間配当は2025年3月期が64円、2026年3月期が86円、2027年3月期の予想が96円となっています(MUFG 配当情報)。
配当を増やしたのは「運」だけではなく、「利益が増えたら配当も増やす」という会社のルールでした。
4. 僕の場合:S&P500積立と比べて考えたこと
この結果を見て、僕がいちばん感じたのは「持ち続けることが大事」ということです。
配当を受け取っていただけで、10年間で39,900円。購入額52,300円の半分以上(約76%)を、配当だけで取り戻せています。長く持ち続けるだけで元が取れて、そのうえ株価も上がったので、大きなプラスになりました。
僕は今、SBI証券の新NISAでS&P500のインデックスファンドを積み立てています。あわせて、日本の高配当株にも投資しています。
その立場から、今回の結果を見て考えたことは3つです。
1つ目は、「結果を知っているから言える」ということ。10年前の時点で、マイナス金利が8年後に解除され、銀行が過去最高益を出すと読めた人は多くなかったはずです。しかも2020年末には含み損でした。僕なら、途中で不安になっていたと思います。
2つ目は、配当の「育ち方」がよく分かったこと。同じ100株でも、配当が年1,800円から7,400円へ増えています。高配当株に投資している僕にとって、「今の利回り」だけでなく「配当を増やす方針があるか」を見ることが大事だと、あらためて感じました。
3つ目は、1社に集中するリスクです。銀行株は金利の影響を強く受けます。逆の方向に動いていたら、結果はまったく違ったはずです。だから僕は、土台はS&P500のような分散の効いたインデックスにして、高配当株は「配当という形で成果が見える部分」として組み合わせる、という考え方をしています。
このシリーズは「この株を買うべき」という話ではありません。10年という時間で、株価と配当がどう動くのかを記録して、自分の投資の考え方を整理するためのものです。
大事なのは「どの株が当たったか」より、「自分は10年持ち続けられる仕組みを作れているか」です。
5. 今日からできること
- 気になる会社の「株主還元方針」を1つ読んでみる:配当性向や増配の方針が、会社のIRページに書いてあります
- 配当の推移を10年分見てみる:「今の利回り」だけでなく、配当が増えてきたか減ってきたかを確認します
- 自分の積立の「途中経過」を記録しておく:含み損の時期もふくめて記録すると、続けるための支えになります
6. まとめ
- 10年前に三菱UFJを100株(52,300円)買っていたら、株+配当で402,100円、7.69倍になっていた
- 年間の配当は2017年の1,800円から2025年の7,400円へ。取得額に対する利回りは14.15%
- ただし2020年末には含み損。前半は低金利、後半はマイナス金利解除と利益成長が追い風だった
- 配当の増加には「配当性向40%程度」という会社の方針も関係している
過去の成績は、将来の成績を保証するものではありません。今回の結果は、あくまで「過去10年ではこうだった」という記録です。
次回は、時価総額2位のソフトバンクグループを取り上げる予定です。
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出典:株価・配当データは Yahoo Finance(8306.T)、データ取得日 2026年10月7日。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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