リクルートの配当推移と株価|10年前に100株買っていたら今いくら?

リクルートの配当推移と株価|10年前に100株買っていたら今いくら?

「10年前に、あの株を買っておけば…」。投資をしていると、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。

シリーズ「もしも10年前にこの株を買っていたら」の8社目です。日本の時価総額が大きい会社を上から順に、「10年前に100株買っていたら、株価と配当でいくらになったか」を実際のデータで計算しています。

今回は、時価総額8位のリクルートホールディングス(6098)です。「リクナビ」「SUUMO」「じゃらん」などの国内サービスに加えて、世界最大級の求人検索サイト「Indeed(インディード)」を持つ会社です。

結果は13.05倍。前回の日立(11.39倍)をさらに上回りました。ただ、中身はかなり極端です。配当はほとんど主役ではなく、ほぼすべてが株価の値上がりでした。

この記事で分かること:

  • 10年前に100株買っていたら、今いくらになっているか
  • 配当が毎年いくら入ってきたか(年ごとの表)
  • なぜ配当が「減った年」があるのか
  • 新NISAでS&P500を積み立てる僕が、この10年を見て考えたこと

1. 計算の前提

まず、計算のルールです。

  • 2016年10月17日の終値で100株を購入
  • 配当は再投資せず、受け取るだけ
  • 税金・手数料は考えない(税引き前)
  • 株式分割は株数に反映

リクルートはこの10年で、1株を3株に分ける株式分割を1回行っています。2017年6月30日の株主が対象で、効力は2017年7月1日です。投資単位あたりの金額を下げて、より多くの投資家に買ってもらいやすくするのが目的とされています(リクルートホールディングス 株式分割及び株式分割に伴う定款の一部変更に関するお知らせ(2017年5月))。

そのため、最初に買った100株は、今は300株になっています。

データはYahoo Financeから取得し、2026年10月13日時点の終値で計算しました。

株が3倍に増えても、持っている「会社の取り分」は同じ。株価が3分の1になるだけです。


2. 結果:100株が13.05倍に

結果はこうなりました。

買った日 2016年10月17日
当時の株価 4,200円
投資額(100株) 420,000円
今の株数 300株(1株→3株の分割)
今の株価(2026年10月13日) 18,020円
今の評価額 5,406,000円
株の値上がり率 +1,187.1%
10年間の配当合計 75,200円
株+配当の合計 5,481,200円
トータルリターン +1,205.0%(13.05倍)

42万円が、株と配当を合わせて548万1,200円。約42万円が、500万円を超えた計算です。

リクルートホールディングスを10年前に100株買っていた場合の推移

① 配当が毎年いくら入ったか

配当の流れを年ごとに見てみます。1株配当は、今の300株に合わせた「分割調整後」の金額です。

年 1株配当(調整後) 受け取った配当 年末の評価額 累計配当
2016年※ 0円 0円 469,000円 0円
2017年 32.67円 9,800円 840,000円 9,800円
2018年 25.5円 7,650円 798,750円 17,450円
2019年 29.5円 8,850円 1,229,700円 26,300円
2020年 24.5円 7,350円 1,296,300円 33,650円
2021年 21円 6,300円 2,091,600円 39,950円
2022年 21.5円 6,450円 1,253,100円 46,400円
2023年 22.5円 6,750円 1,788,900円 53,150円
2024年 23.5円 7,050円 3,343,500円 60,200円
2025年 24.5円 7,350円 2,654,100円 67,550円
2026年※ 25.5円 7,650円 5,406,000円 75,200円

※2016年は10月17日からの約2か月半、2026年は10月13日までのデータで、どちらも1年分ではありません。2026年の「年末の評価額」は10月13日時点の値です。表はYahoo Financeのデータを暦年(1〜12月)で集計したもので、会社の決算期(3月期)ごとの年間配当とは区切りがずれます。配当は権利落ち日の年に計上しているため、2026年には9月末が基準日の中間配当も含みます。

※2017年が多く見えるのは、決算期の区切りのためです。リクルートは2018年3月期から中間配当を始めました。そのため2017年には、2017年3月期の期末配当(分割調整後21.67円)と、2018年3月期の中間配当(11円)の2回分が入っています(リクルートホールディングス 2018年3月期 通期決算発表、IRBANK 配当金の推移)。

年間の配当は、2019年の8,850円をピークに、2021年には6,300円まで減りました。その後は毎年少しずつ増えて、2025年は7,350円です。

② 取得額に対する配当利回りは1.75%

直近の1年分そろっている2025年で見ると、最初の投資額に対する配当利回りは1.75%です。42万円に対して、1年で7,350円の配当が入ってくる計算です。

シリーズの中で見ると、日立(8.6%)などと比べてかなり低い数字です。10年持っても、配当だけでは「お小遣い」にもなりにくいタイプの株だと分かります。

③ 主役は100%近く「株価」

今の評価額5,406,000円に対して、10年の配当合計は75,200円。13.05倍のほぼすべてが、株価の値上がりによるものです。

しかも、伸び方はかなり荒いです。

  • 2021年末:2,091,600円 → 2022年末:1,253,100円(1年で約4割の下落)
  • 2023年末:1,788,900円 → 2024年末:3,343,500円(1年で約2倍)
  • 2024年末:3,343,500円 → 2025年末:2,654,100円(再び下落)
  • 2025年末:2,654,100円 → 2026年10月:5,406,000円(10か月で約2倍)

上がる年と下がる年の差がとても大きく、評価額が一気に数十万〜百万円単位で動いています。

13倍の裏には、「1年で4割下がる年」も含まれていました。

配当利回りはどうだった?(買ったときと、持ち続けた場合)

「この株を買うかどうか」を考えるには、配当利回りを知ることが欠かせません。買ったときの利回りと、その後の利回りの変化を計算しました。

買ったとき(2016年10月17日)の配当利回りは1.19%です。買う前の1年間に支払われた1株配当16.67円を、買ったときの株価1,400.0円で割った値です(どちらも分割調整後)。分割前の当時の実際の金額でいうと、1株配当50.01円÷株価4,200円で、同じ利回りになります。

時点 1株配当 株価 その時点の配当利回り 持ち続けた場合の利回り
買ったとき(2016年10月) 16.67円 1,400.0円 1.19% —
2017年 32.67円 2,800.0円 1.17% —
2018年 25.5円 2,662.5円 0.96% 1.82%
2019年 29.5円 4,099.0円 0.72% 2.11%
2020年 24.5円 4,321.0円 0.57% 1.75%
2021年 21円 6,972.0円 0.30% 1.50%
2022年 21.5円 4,177.0円 0.51% 1.54%
2023年 22.5円 5,963.0円 0.38% 1.61%
2024年 23.5円 11,145.0円 0.21% 1.68%
2025年 24.5円 8,847.0円 0.28% 1.75%
今(2026年10月13日) 25.5円 18,020.0円 0.14% 1.82%

※1株配当と株価は分割調整後の値です。株価は、買ったときは購入日の株価、各年は年末の株価、今は10月13日の株価です。1株配当は、買ったときと今は直近1年間、各年はその年(1〜12月)の合計です。「その時点の配当利回り」=1株配当÷その時点の株価(その時点で新しく買う人の利回り)。「持ち続けた場合の利回り」=1株配当÷買ったときの株価(2016年に買って持ち続けている人の利回り)。

持ち続けた場合の今の利回りは1.82%です。買ったときの1.19%から、持ち続けて増配を受け取ることで約1.5倍に上がっています。買ったときの利回りが低くても、増配が続けば、持ち続けている自分にとっての利回りは年々上がっていきます。一方で、今新しくこの株を買う人の利回りは0.14%です。

僕が高配当株を選ぶときの利回りの目安は3.5〜4%くらいです。リクルートの買ったときの利回り1.19%は、この目安より低い水準でした。

リクルートの10年をざっくり振り返る

3. この10年で何が株価と配当を動かしたのか

① Indeedを中心とした「HRテクノロジー」の成長

この10年のリクルートを動かした一番の主役は、求人検索サイトのIndeedです。2018年3月期の決算では、Indeedを含むHRテクノロジー事業の売上が、米ドルベースで前年から60.7%増えたと発表されています。同じ発表で、米国の企業口コミ・求人サイト「Glassdoor」の買収に最終合意したことも公表されました(リクルートホールディングス 2018年3月期 通期決算発表)。

日本の「求人情報誌の会社」が、海外のネットで稼ぐ会社に変わっていった10年だったと言えます。

② コロナで配当が減った(2021年3月期)

配当が減った理由は、新型コロナです。リクルートは2020年当時、感染拡大と各国の対策が、グローバルの事業のほぼすべてにマイナスの影響を与えるとして、業績の見通しを慎重に示していました(リクルートホールディングス 適時開示(2020年11月13日))。

決算期で見ると、年間配当は2020年3月期の30円から、2021年3月期は20円に下がっています。その後は2022年3月期の21円から毎期1円ずつ増え、2026年3月期は25円、2027年3月期は26円の予想です(IRBANK 配当金の推移)。

求人の仕事は、景気が悪くなると一気に減ります。景気の波をまともに受けやすいビジネスだということが、配当にも表れています。

③ 2026年の急上昇:Indeedの「稼ぐ力」と好決算

2026年の株価は、まさにジェットコースターでした。2月17日に年初来安値の6,040円をつけたあと、8月7日の第1四半期決算で、2027年3月期の純利益予想を前期比51.9%増の7,550億円に引き上げました。翌営業日の8月10日には、株価が22.8%上がってストップ高になったと報じられています(マネーポストWEB(2026年10月8日))。

同じ記事では、業績予想の上方修正の大部分が、Indeedを含むHRテクノロジー事業によるものだったとされています。

株価を押し上げたのは配当ではなく、「Indeedがどれだけ稼げるか」への期待でした。


4. 僕の場合:リクルートの10年を見て考えたこと

リクルートは、配当狙いの僕なら買わない株です。

でも、株価が大きく伸びた会社は、事業がうまくいっていることが多いと思います。だから、何をしている会社なのかを調べて、ウォッチしておく。買わなくても、世の中で何が伸びているのかを知る情報収集に使えます。

僕は今、SBI証券の新NISAでS&P500のインデックスファンドを積み立てています。あわせて、NISAの外で日本の高配当株にも投資しています。

今回の結果を見て、考えたことは3つです。

1つ目は、「結果だけ見れば最高、でも僕には持てなかった」ということです。13.05倍は、このシリーズの中でもかなり大きな数字です。でも、取得額に対する配当利回りは1.75%。しかも2022年には評価額が1年で約4割減っています。僕は、値上がりだけの株とは長く付き合う自信がありません。配当という「持ち続ける理由」が小さい株を、下落の年に握り続けられたかと聞かれたら、正直、自信はないです。

2つ目は、リクルートの成長の中身が「アメリカ」だということです。Indeedの稼ぎは、米国の雇用の動きに大きく左右されます。これは、僕がS&P500で持っているアメリカ経済の成長と、同じ方向を向いている部分があります。「日本株を買っているつもりで、実はアメリカの景気に賭けている」こともある。自分の資産全体で、どこに偏っているかを見ることの大切さを感じました。

3つ目は、やっぱり「市場全体」を土台にしてよかった、ということです。10年前の時点で、リクルートがここまで伸びることも、途中でコロナに直撃されることも、当時の僕には分かりませんでした。僕の投資の考え方でも書いたとおり、僕は波に乗る投資より、波に落とされない投資を選んでいます。インデックスで将来のお金を育て、高配当株で今のお金を少し充実させる。この組み合わせなら、リクルートのような「当たり」を自分で見つけられなくても、市場の成長は受け取れます。

僕の買い方ルールで判定すると

最後に、僕が高配当株を選ぶときのルールで、今の時点のリクルートを判定してみます。

ルール 今の状況 判定
① 売上・利益(10年単位) 売上収益は2016年3月期の1兆5,886億円から2026年3月期の3兆6,973億円へ、営業利益は1,140億円から6,306億円へ増加。2021年3月期の減少はコロナ期(IRBANK) ○
② 10年増配(減配なし、コロナ期以外の据え置きなし) 2021年3月期に30円→20円へ減配(分割調整後)(IRBANK) ×
③ PBR 14.42倍(2026年10月15日、Yahoo Finance)。プライム市場のサービス業の平均は2.0倍(KabuGraph(JPXデータ、2026年9月末の加重平均)) ×
④ 配当利回り3.5〜4% 0.14%(上の「配当利回りはどうだった?」の「今」の行) ×
補足 利益が増えた年は増配しているか 当期利益が増えた年(2017〜2020・2022・2024〜2026年3月期)は、すべて増配(IRBANK) ○
補足 配当性向30〜40% 2026年3月期は7.1%と低い(IRBANK) △

僕のルールでは見送りです。業績は着実に伸びていますが、減配の年があり、PBRも業種平均を大きく上回り、配当利回りも1%未満のためです。

※僕の自己流のルールで判定した、僕自身の判断です。この株の購入や売却を勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

このシリーズは「この株を買うべき」という話ではありません。10年という時間で、株価と配当がどう動くのかを記録して、自分の投資の考え方を整理するためのものです。

大事なのは、何倍になったかより「自分ならその10年を持ち続けられたか」。

株価で増える会社と配当で支える会社

5. 今日からできること

  • 持っている株の「取得額に対する配当利回り」を計算してみる:1年の配当 ÷ 買ったときの金額。例えば10万円で買って年3,000円なら3%です
  • 日本株の「稼ぎ先」を調べてみる:会社のIRページで、売上のうち海外がどれくらいかを見てみます。日本株でも、中身は海外の景気に左右されていることがあります
  • 「1年で4割下がったら自分はどうするか」を1行で書いておく:例えば「積立は止めない」など、迷ったときに見返せるルールを決めます

6. まとめ

まとめ:もしも10年前にリクルート株を買っていたら
  • 10年前にリクルートを100株(420,000円)買っていたら、株+配当で5,481,200円、13.05倍になっていた
  • 2017年の株式分割(1株→3株)で、今は300株
  • 10年の配当合計は75,200円。取得額に対する配当利回りは1.75%で、主役はほぼ株価
  • コロナで配当が減った年があり、その後は毎期1円ずつ増配
  • 株価を動かしたのはIndeedの成長。2022年の大きな下落や、2026年の急上昇もあった

過去の成績は、将来の成績を保証するものではありません。今回の結果は、あくまで「過去10年ではこうだった」という記録です。

次回は、時価総額9位のファーストリテイリングを取り上げる予定です。

あわせて読みたい記事:

出典:株価・配当データは Yahoo Finance(6098.T)、データ取得日 2026年10月13日。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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