「パートの時間を増やしたいけど、106万円を超えると手取りが減るらしい…」
共働きの家庭なら、一度はこんな会話をしたことがあるのではないでしょうか。じつはこの「106万円の壁」、2026年10月1日から賃金の条件がなくなりました。
一見、家計にはマイナスのニュースに見えます。でも、サイドFIREをめざす目線で見ると、少し違った景色が見えてきます。なぜなら、サイドFIREは「完全に働かない」のではなく、短い時間だけ働きながら、資産収入と組み合わせる生き方だからです。
この記事では、次の3つが分かります。
- 10月から何が変わって、何が変わらないのか
- 家計への影響をどう考えればいいのか
- サイドFIRE後の「ゆるく働く」計画にどう関係するのか
1. 今なぜこの話題なのか:「106万円の壁」の賃金要件が撤廃
これまで、パートやアルバイトなど短時間で働く人が勤務先の健康保険・厚生年金に入る条件のひとつに、「月額賃金が8.8万円以上(年収にすると約106万円以上)」という賃金要件がありました。これがいわゆる「106万円の壁」です。
2025年6月に成立した年金制度改正法で、この賃金要件をなくすことが決まりました。施行日は「公布から3年以内で政令で定める日」とされていましたが、2026年9月11日の官報で公布された政令によって、2026年10月1日に決まりました。
(出典:「賃金要件の撤廃」の施行期日を令和8年10月1日と決定|社労士を活用しよう!)
撤廃の理由は、最低賃金の上昇です。全国の最低賃金が上がったことで、週20時間働けば、多くのケースで自然と月8.8万円に届くようになりました。つまり、「金額」で線を引く意味が薄れたということです。
(出典:10月から「年収106万円未満」でも“週20時間以上”働くと社会保険加入!?|ファイナンシャルフィールド)
これからは「いくら稼ぐか」より「週何時間働くか」が線引きになります。
2. 押さえておきたい3つのポイント
① なくなったのは「賃金要件」だけ
勘違いしやすいのですが、10月から「パートの人は全員、社会保険に入る」わけではありません。なくなったのは賃金の条件だけで、次の条件はそのまま残っています。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
- 学生ではない
- 勤務先が対象の事業所(今は従業員51人以上の企業など)
(出典:106万円の壁撤廃|あゆさわパートナーズ)
たとえば、週20時間未満で働いている人は、これまでどおり対象外です。まずは家族の「契約上の労働時間」を確認することが、最初の一歩になります。
② 企業規模の条件も、これから段階的に広がる
今回の改正では、勤務先の規模の条件も少しずつ広がっていく予定です。
- 2027年10月:従業員36人以上
- 2029年10月:従業員21人以上
- 2032年10月:従業員11人以上
- 2035年10月:企業規模の条件をなくす予定
(出典:ファイナンシャルフィールド)
いま小さな会社で働いていて「うちは関係ない」と思っている人も、数年後には対象になるかもしれません。今回の改正は、今年だけの話ではなく、これから10年続く流れです。
③ 手取りは減るが、保障と年金は増える
社会保険に入ると、保険料が給料から引かれるので、同じ時間働いても手取りは減ります。ここは正直、痛いところです。
一方で、入ることで得られるものもあります。
- 厚生年金:将来の年金が、国民年金だけのときより上乗せされる
- 傷病手当金:病気やケガで働けないとき、健康保険から手当が出る
(出典:ファイナンシャルフィールド)
なお、配偶者の扶養に入れるかどうかの「130万円の壁」は、今回の改正後も残ります。家族の働き方を考えるときは、2つの壁を分けて考えるのがポイントです。
「手取りが減る」だけを見ると損。でも「将来の収入と安心が増える」まで見ると、話は変わります。
3. サイドFIREの計画にどう関係する?
ここからが、このブログらしい話です。
サイドFIREは、資産からの収入で生活費の一部をまかない、残りを短時間の仕事や副業でまかなう生き方です。たとえば「会社を辞めて、週3日・1日6〜7時間くらいのパートで働く」という形を想像している人も多いと思います。
このとき、週20時間を超えるかどうかで、社会保険の扱いが変わります。
- 週20時間以上で勤務先の社会保険に入る:保険料の半分は会社が負担。厚生年金も積み上がる
- 週20時間未満で国民健康保険・国民年金:保険料は全額自分で払う。年金の上乗せはない
サイドFIREの計画では「いくら稼ぐか」ばかり考えがちです。でも、社会保険にどう入るかで、毎月の固定費と将来の年金が変わる。ここも計画に入れておく必要があります。
これまでは「106万円を超えないように時間を調整する」という考え方がありました。これからは、その金額の線がなくなります。だからこそ、「時間」を軸に、自分に合った働き方を選ぶことが大事になります。
サイドFIREの「半分働く」は、何時間働くかまで決めて、はじめて計画になります。
年収600万円・扶養なしの会社員なら、どう変わる?
では、フルタイムで働く年収600万円の会社員で、扶養している家族がいない場合はどうでしょうか。結論から言うと、今回の改正で直接変わることは、ほとんどありません。
- 社会保険はすでに加入している:フルタイムの会社員は、もともと勤務先の健康保険・厚生年金に入っています。106万円の賃金要件がなくなっても、保険の入り方や手取りは変わりません
- 扶養の家族がいないので、家族側の影響もない:配偶者がパートで働いている家庭のように「家族の働き方が変わる」という影響もありません
- 同じ改正で決まった「厚生年金の上限引き上げ」も対象外:厚生年金の保険料を計算する標準報酬月額の上限は、2027年9月から段階的に引き上げられ、2029年9月には今の65万円から75万円になります。ただし、負担が増えるのは月給が65万円を超える人です。年収600万円なら、ボーナスなしで12で割っても月50万円なので、ここも対象外です
(参考:労務ドットコム「厚生年金保険の標準報酬月額上限額 75万円まで引き上げ予定」、ニッセイ基礎研究所)
つまり、年収600万円・扶養なしの会社員にとっては、「今の手取りは変わらない」ニュースです。ただ、将来サイドFIREで働く時間を減らしたときや、家族が増えたときには関係してきます。今のうちに仕組みを知っておく価値はあると思います。
4. 僕の場合:双子パパの会社員として考えたこと
僕は営業職の会社員で、出張も多く、家では双子の子育て中です。正直、今の僕はフルタイムの会社員なので、この改正で僕自身の給料が大きく変わるわけではありません。
それでも、このニュースは「自分ごと」だと感じました。理由は2つあります。
1つ目は、家族の働き方の話だからです。子どもが大きくなったら、家族の働き方も変わっていくはずです。そのときに「壁を気にして時間を減らす」のか、「社会保険に入って長く働く」のか。夫婦で話し合うための材料として、今のうちに知っておきたいと思いました。
2つ目は、僕自身のサイドFIRE後の話だからです。僕が思い描いているのは、会社を辞めて何もしない生活ではありません。子どもとの時間を増やしながら、短い時間だけ働くスタイルです。そのとき、週何時間働くかで保険料や年金が変わるなら、それも含めて「必要な資産額」を考えたほうが正確です。
例えば、同じ月10万円を稼ぐとしても、会社の社会保険に入れる働き方と、国民健康保険・国民年金を自分で払う働き方では、手元に残るお金や将来の年金が変わってきます。数字は人によって違うので、「どちらが得か」ではなく「自分の計画ではどうなるか」を一度試算するのがいいと思っています。
会社員の僕にとって、今回の壁の変化は小さな変化です。それでも、社会の仕組みが変わることには敏感でいたいと思っています。気になるニュースがあれば、いろいろな媒体で調べるきっかけになるからです。
情報収集は、AIに任せると楽になります。AIに毎日ニュースをまとめてもらうように頼めば、簡単に情報を得られます。
制度は変わります。でも、変わるたびに知って、計画を少し直せば大丈夫です。
5. 今日からできること3つ
① 家族の「週の所定労働時間」を確認する
パートやアルバイトで働く家族がいるなら、雇用契約書を見て、週の所定労働時間が20時間以上かどうかを確認しましょう。実際に働いた時間ではなく、契約上の時間がポイントです。
② 勤務先の従業員規模を把握しておく
今は従業員51人以上の企業などが対象ですが、2027年10月からは36人以上に広がる予定です。家族の勤務先がどの段階で対象になるのか、ざっくり把握しておくと、先回りして考えられます。
③ サイドFIRE後の「働き方メモ」を書いてみる
「週何日・何時間働くか」「会社員として働くか、副業・個人で稼ぐか」を、ノートやスマホのメモに書き出してみましょう。そこに社会保険と年金のことを1行足すだけで、計画の解像度がぐっと上がります。
6. まとめ
- 2026年10月1日から、短時間労働者の社会保険加入の条件から「月8.8万円以上(約106万円)」の賃金要件がなくなった
- 週20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生でない・対象の事業所、という条件は残る
- 企業規模の条件も、2027年10月から段階的に広がる予定
- 手取りは減る一方で、厚生年金や傷病手当金などのメリットもある
- サイドFIREの「ゆるく働く」計画では、何時間働くかと社会保険をセットで考える
「壁」を怖がるより、仕組みを知って自分で選ぶ。それが、お金と時間の自由に近づく一歩だと僕は思っています。
サイドFIREに必要な資産額の考え方は、こちらの記事でまとめています。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資は自己責任でお願いします。

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